ぶらりすすき野3


バラがむすぶ小径
 

――人と人をむすぶ小径・荏子田太陽公園――


 荏子田3丁目,青葉保育園のとなりにこんもりとした小山がある。これが「荏子田太陽公園」。2〜3軒へだてて南が愛知太陽幼稚園となる。間もなくこの公園を縁どるサルスベリがピンクの花ぶさを見せる季節となる。
 ご存知でしょうか,この公園の北側と西側の斜面がぐるり,最近きれいに整理され,いま,とりどりのバラがその色とすがたを競い合っています。すこし季節をすぎたとはいえ,雨のしずくを浮かべながら,まだまだ鮮やかな色とやさしい香りで公園をつつんで,訪れる人の心と体を癒してくれます。

 少し以前までは,一部に「痴漢公園」の悪名さえ聞こえ,丈高い雑草が生い繁りほうだい,振りかえる人もなく放置されて,近隣の人さえめったに近寄らない公園でした。それが,「荏子田おやじの会」メンバーを中心にした呼びかけで「太陽公園プロジェクト」発足,さらに「Joy of Rosesプロジェクト」(リーダー:赤澤増男さん)を起ちあげて,2年ほど前から,日曜ごとに地域の10人ほどの有志が中心となって,汗まみれになっての雑草とりからスタート。その後,バラを愛する人の輪が徐々に広がるなか,周囲に広くよびかけてバラの苗木を提供してもらい,”My Rose”を一本ずつ植えてきて,現在は110数株となりました。なんといっても,バラは横浜の市花でもあります。7月13日(日),この日も梅雨のあいまの作業に来ていたおやじの会メンバーの里井さんにお話をうかがいました。

まず驚かされるのは,バラ一本一本に多彩な個性があること。ゴールドバニー,ブルーボーイ,シャルロット,サマードリーム,コーネリア,アダムアルフレッドキャリエール,パープルタイガー,プリンセスミチコ,ロイヤルプリンセス,マリアカラス,マチルダ,クリタルフェアリー……。記憶力の減退したこちらの脳に,カタカナ表記されたそれぞれの名はなかなかストンと入ってこないけれど,こんなにもいろいろな種類があったのか,こんなにも世界の人びとに愛されてきた花なのか,という驚きにうたれます。それぞれのバラの根元には,イメージゆたかなゆかしい名前と提供者の名を白い字でしるす木製の小さな標識板が置かれています。すべて手作りで,自然を大事にしようとの心づかいが感じられます。昨年は5月5日,第2回の今年は5月18日(日)に「荏子田バラまつり」が開かれ,フリーマーケットや食べ物の出店も立って賑わい,公園でのひとときを地域のみんなで親しみ合いました。

 地域の人びとが気持ちを撚り合わせて取り組んできた地道なその努力はすばらしく,「バラがむすぶ小径」は,なによりも地域の「人と人をむすぶ小径」でもあったということが注目されます。また,公園頂上の広場わきには,枕木を組み立てたテーブルが数基できています。この枕木,箱根登山鉄道で使われていたものをタダでもらってきたそうで,いまはきれいにニスが塗られ,このごろは,野趣に富んだ素朴さが愛されて,ときどき野外バーベキュー・パーティをここで開いて楽しむ人たちを見ることがあります。
「丸正」や「ブランチハウス」などにお買い物に出たついでに,ぜひ一度立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
 なお、バラの会“Joy of Roses”のホームページです。一度覗いてみませんか。 

(7月13日/文と写真・菅野)